痴漢で正式裁判となる場合

正式裁判と略式裁判

正式裁判とは

正式裁判とは「刑事裁判」という言葉で皆さんがイメージする裁判です。法廷で、本人が裁判官に自己の言い分を述べたり、弁護士や検察官が訴訟活動を行ないます。法廷ドラマやニュースにでてくる裁判です。

 

略式裁判とは

略式裁判とは書面だけで行われる簡単な裁判です。正式裁判のように、法廷で、本人が言い分を述べる機会はありません。そのため、略式裁判を行うためには、本人の同意が必要とされます。同意がある場合でも、懲役刑・禁固刑や100万円を超える罰金を科すことはできません。

 

痴漢でいきなり正式裁判になることはない

前科・前歴がない場合、痴漢でいきなり正式裁判となることはまずありません。最悪の場合でも、略式裁判で罰金どまりです。罰金額は30万円になることが多いです。法律事務所の中には、「弁護士をつけないと懲役になる」等と危機感をあおって契約させようとするところもあるようですのでご注意ください。

 

痴漢で正式裁判となる3つのケース

前科・前歴がない場合、痴漢で正式裁判となることは通常ありません。ただし、次の3つのケースでは、前科・前歴がなくても、正式裁判となる可能性が十分にあります。

 

①痴漢を否認している場合

②下着の中に手を入れた場合

③被害者が複数いる場合

 

①痴漢を否認している場合

ご本人が否認している場合、略式裁判になることはありません。有罪か無罪かはご本人にとっても、検察官や裁判官にとっても大きな問題です。そのような大きな問題については、略式裁判ではなく、裁判官の前で言い分を述べる機会が保障されている正式裁判で判断されます。

 

②下着の中に手を入れた場合

下着の中に手を入れた場合、迷惑防止条例違反ではなく強制わいせつ罪として立件されます。強制わいせつ罪の刑罰は懲役刑のみです。迷惑防止条例違反のように罰金刑はありません。法律上、懲役刑については、略式裁判で言渡しをすることができません。そのため、起訴された場合は、必ず正式裁判となります。

 

③被害者が複数いる場合

痴漢の被害者が複数いる場合、被害者ごとに複数の事件として立件されれば、初犯の方であっても正式裁判になることがあります。例えば、自転車で走りながら、次々とすれちがう女性の体に触れたような場合は、被害者ごとに個別の事件として立件され、初犯であっても、まとめて起訴され正式裁判になることがあります。

 

以上のようなケースでは、前科・前歴がなくても、正式裁判になる可能性が十分にあります。ただ、正式裁判になるのはあくまで起訴された場合です。起訴されなければ、そもそも裁判にはなりません。不起訴処分を獲得するためには、早い段階から弁護士のサポートを受けたほうがよいでしょう。

 

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