痴漢冤罪で示談の余地があるケース
示談とは、被害者に対して、自分がしたことを認めた上で、示談金を支払って許してもらうことです。
痴漢冤罪のケースでは、そもそも本人は痴漢をしていないため、許してもらう必要はない=示談をする必要はないとも思えます。
確かに、「全く触っておらず100%自分ではない」という人違いのケースであれば、被害者に何も迷惑をかけていないため、謝罪をする必要も示談をする必要もありません。
もっとも、痴漢冤罪の全てがこのような人違いのケースではありません。痴漢冤罪の中には、「被害者の体に触れていたことは事実だが不可抗力であり、やましい気持ちはなかった」というケースもあります。
たとえ身体に触れていても不可抗力であれば、犯罪にはなりません。ただ、このケースの場合は人違いのケースと異なり、「女性の体に触れてしまい嫌な気持ちにさせてしまった」ことは事実です。
そのため、「痴漢したこと」ではなく「嫌な気持ちにさせてしまったこと」について示談をする余地はあるといえるでしょう。
痴漢冤罪で示談をするメリット
痴漢冤罪で示談をするメリットは、「事件を早期に解決できる可能性が高まる」ということです。
現在の検察庁や裁判所の運用では、痴漢を否認して逮捕されても、勾留まではされないことが多くなっています。そのため、「早期の釈放」という観点からは、被害者と示談をする必要性は低いです。
もっとも、痴漢事件は釈放されて終わりというわけではありません。冤罪であるとして否認しているケースでは、釈放されても長期間にわたって何度も取調べを受けることになります。もし起訴されてしまえば、数か月から1年以上にわたって、何度も裁判所に出廷しなければいけません。弁護士費用も高くなってしまいます。
このように痴漢を否認した場合は、時間的・精神的・経済的な負担が大きくなります。
被害者と示談をして、被害届を取り下げてもらい、「裁判になっても証人として出廷しない」との約束をとりつけることができれば、早期に不起訴になるためご本人の負担が軽減されます。
痴漢冤罪で示談をする際の注意点
痴漢冤罪で示談をする際は、痴漢をしたことを認めないように注意する必要があります。示談金を支払う理由は、「痴漢したことのお詫び」ではなく、「迷惑をかけてしまったことのお詫び」です。
痴漢を認めてしまえば、万一、示談がまとまらなかった場合に、不利な証拠になってしまいます。
ご本人には被害者宛の謝罪文を書いてもらいますが、謝罪文にも「痴漢してしまい申し訳ございません。」等と書くのではなく、「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」とぼかして書いた方がよいでしょう。
痴漢冤罪のケースで痴漢交渉をするのは、通常の示談よりもハードルが高く、高度なスキルが必要になるため、冤罪示談の経験豊富な弁護士に依頼するとよいでしょう。
ウェルネスの弁護士は痴漢冤罪のケースでも多くの示談をまとめてきました。お困りの方はお気軽に03-5577-3613までお電話ください。
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しました。
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